[No.466-1]鼻をすする
No.466-1
登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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(・・・ん?)
ソファー越しに、鼻をすする音が断続的に聞こえてきた。
数分間、それが続いたような気がする。
「かぜでもひいたのか?」
「えっ・・・なに、わたし!?」
そう言うとソファーの背もたれからチョコンと顔を出した。
・・・と同時に、鼻をすする音が聞こえた理由が分かった。
「・・・泣いてたのか?」
「うん、だって・・・」
そう言えば、さっきからひとりで映画を見ている。
確か、僕の嫌いな純愛ものだ。
「あまりにもこの女の子が・・・」
・・・と、色々言われても見ていないのでピンとこない。
ただ、涙は誘うらしい。
「てっきり、かぜをひいてるのかと思った」
「デリカシーがないわね、もう!」
「見えなかったから、仕方ないだろ?」
実際、ソファー越しで、しかも音しか聞いていなかった。
「そんなんじゃ、女性に嫌われるわよ!」
純愛ものを見ていただけに手厳しい。
「わかったから、そう責めるなよ」
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