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[No.465-2]黒いモヤ

No.465-2

「あっ・・・いや、なんでもない」

タイミングを外したら、もう二度と言えないセリフだった。

「今回は本気で考えてみる」
「うん、分かった・・・何でも相談して」

結局、この話はいつもの通りここまでだった。
彼女をそうさせている理由・・・検討は付いていた。

「やっぱり・・・ごめんな」
「別にいいよ、謝られることでもない」
「いつか、ひとりで暮らしたいな」
「その時は、遊びに行くよ」

しばらく、沈黙が続いた。
電話の向こうで、彼女が泣いているのが分かる。

「せやな!絶対来てや」
「もちろんだよ!」

でも、二人の望みが叶うことはなかった。

黒いモヤは何となく人の形に見えた。
それに性別で言えば、男性のように感じた。

黒いモヤに包まれる彼女。
笑顔の中に言い知れぬ寂しさと、むなしさが見える。

「こうでもせえへんと」

そんな言葉が伝わってくるようだった。

あれから、もう4年の歳月が流れた。
夢の中の自分には悪いが、今も考え方は変わっていない。
そんな生き方だろうが、どんな生き方だろうが・・・。
生きていてくれればそれでいい。

だから、生きることを諦めるな。
S465
(No.465完)
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