[No.459-2]空が無い
No.459-2
「そんな時間も・・・」
「・・・場所もない?」
空がないわけじゃない。
こうやって見上げれば、いつでもそこに空はある。
ただ、青空に見えてもどこか淀んでいる。
それは、夜になればよく分かる。
「ほんとは、空一面に星が輝いているんだよね」
星が見えないのが、逆説的な証拠だ。
「どこまでも澄んだ空なら、癒してくれるかもね」
「・・・都会じゃ、無理かもしれないけど」
澄み切った青空はそれだけで十分だ。
そこに何があるわけじゃないが。
「あ~ぁ、青い空に出逢いたい!」
「仕方ないわね・・・そこまで言うなら」
「連れて行ってくれるの!?」
数分後、その場所に到着した。
「・・・どこにあるの、その青い空は?」
なんの変哲もない住宅街に連れて行かれた。
これなら、さっきの場所と何も変わらない。
「ほら、アレよ、アレ・・・」
友人がある所を指差す。
「あっ・・・本当だ・・・って・・・もう!」
駐車場を知らせる表示版に、澄んだ青の“空”があった。
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