[No.458-2]プチ家出
No.458-2
「最寄り駅から電車に乗って・・・」
約30分、電車に揺られて行き着く先はいつも決まっていた。
「それから駅のデパートをウロウロして」
また家に戻ってくる。
「家出と言える?」
「気持ちの上では家出だったのよ」
ケンカした後、子供ながらにその悔しさを納められずに居た。
だから、可能な限り遠出することで、それを鎮めようとした。
明らかに“家出”と言う意識を持って。
「最寄り駅で、いつもお菓子買ってたっけな」
買うお菓子はいつも決まっていた。
レモン味の、見た目はジューCに良く似ていた。
「デパート、お菓子、夕飯には戻る・・・」
これらがわたしの中で、家出の定番だった。
「まぁ、これが唯一の武勇伝かな・・・インパクトは弱いけど」
結局、誰にも知られることはなかった。
今、こうして話をするまでは。
「何もなかったかのように、夕食も食べてたし・・・」
「それに、いつもタイミングよく、夕食にあり付けるんだよね」
夕食の時間が決まっていなかった我が家において・・・
偶然にも食事どきには戻れていた。
それが、気付かれなかった理由でもあった。
「偶然か・・・本当にそうなのかな?」
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