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[No.458-1]プチ家出

No.458-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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学生時代の話になると、武勇伝合戦に至る場合がある。
やれ不良だったの・・・。

「ねぇねぇ、由紀(ゆき)は?」
「えっ!わたし?」
「・・・あるわけないか、マジメだもんね」

決して誉められているわけじゃないだろう。
悪く言えば“つまらない人”と聞こえる。

「そ、そんなことないわよ!」
「あるの?ほんとに!」
「あっ、その・・・それほどじゃないけど」

期待が大きくなり過ぎる前に、歯止めを掛けた。

「もちろん、聞いていいわけよね?」

無難に生きて来たわたしにとって唯一とも言えるエピソードだ。

「小学生までさかのぼるんだけど・・・」
「そんな頃からワルだったの!?」

なぜだか、嬉しそうな顔だった。

「別に悪いことしたって言ってないでしょ?」

小学2、3年生の頃だったと記憶している。
母親とケンカしては家出を繰り返していた。

「充分、ワルだよそれ!」
「家出って言っても・・・」

夕飯の頃には家に帰ってくる。
だから、家出していること自体誰も知らなかった。

(No.458-2へ続く)

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