[No.457-2]才能
No.457-2
「それで、その絵がどうしたの?」
「あぁ・・・展覧会で賞を取ったんだ」
先生がその絵を何らかの展覧会に出した。
それが見事・・・
「金賞!?」
「いや・・・何だったか覚えていない」
ただ、町内会とかそんなレベルではなかった。
確か大阪の美術館に展示されたとか、されないとか・・・。
「す・・・すごいじゃない!?」
手前味噌ながら、大人になった今でもその片鱗は残っている。
「小さい頃から、そんな才能だけはあったな」
悪く言えば、夢見がちな少年だったと言える。
でも、だからこそ夢のような世界を描くことができたのかもしれない。
「表彰状もあったんだけど」
気付けば見当たらなくなっていた。
「先生が僕の絵を取り上げてくれなかったら」
「賞を取ることもなかったからね」
だから、これにも感謝している。
「すごい才能ね」
「・・・だろ?見直した?」
「ううん、あなたじゃなくて」
ただの絵を、ただの絵として扱わなかった・・・
そんな先生の才能が凄いのか。
(No.457完)
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