[No.456-2]ちらし配り
No.456-2
「チラシ自体はうざいんだけど」
「入れる側に罪はなし?」
「あぁ・・・それに全員とは言えないけど、前、居合わせた人は・・・」
何の根拠もないけど、一生懸命さが伝わってきた。
「事務的じゃなく、なんかこう・・・」
うまく言えない。
けど、少し後ろめたい気持ちになるほどだった。
「後ろめたい?」
「だって、この後、ゴミ箱にポイ!するわけだろ?」
目の前でそうしなくとも、結果そうする。
大袈裟に言えば偽善者だ。
さも、大事に持って帰るように見せかけて、実は・・・。
「・・・確かに大袈裟かも」
「でもな、その時は少なくともそう感じたんだ」
それからと言うもの、何となくチラシが捨てられなくなった。
正確に言えば、捨ててることには変わりはない。
ただ、しっかりチラシを見るようになった。
「なんか悪いだろ?なにも見ずに捨てるのも」
「あなた、らしいね」
ほとんどが住宅関連で、今の僕には全くもって必要ない。
けど、時々エッチなチラシに目を奪われることもある。
「・・・聞き捨てならないわね」
「じょ、冗談だよ!エッチな・・・」
「それじゃなくて、その前の話!」
「住宅関連・・・がなにか?」
この数年後に、僕たちは住宅展示場を訪れることになる。
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