[No.454-2]写真の中の私
No.454-2
「元カレも居た?」
「ううん、私、全部捨てちゃうタイプだから」
もしかしたら、一番大切な想い出なのかもしれない。
けど、自分の中では懐かしむ対象だとは思っていない。
その理由は・・・。
「満面の笑みが逆に・・・こう、なんか・・・」
写真の中の私・・・とても幸せそうだ。
「まぁ、そもそも写真を取る時なんて、そんな時だもんね」
特に恋人同士なら、なおさらだろう。
「それを後で冷静に見るのが辛いこともあるし」
「だから、処分するの?」
「・・・かもしれないね」
「なるほど・・・キチンと整理してるわね」
冗談にもマジメなようにも聞こえるセリフだった。
「逆にね、今でも温かい気持ちになれる写真もあるんだ」
「へぇ~・・・・どんな?」
実家で飼っていた、ネコの写真。
数は多くないが、傍らに私が写っている写真が何枚かあった。
「一人暮らしを始めてから、1年くらい経過した頃かな・・・」
静に息を引き取った。
誰よりも私になついていたのは、離れてからも変わらなかった。
むしろ、余計に愛情が深まったようにさえ感じた。
「写真の中の私、とても幸せそうなんだよね」
何年経っても見るのが辛くなることはない一枚だった。
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