[No.452-2]カウントダウン
No.452-2
「彼と付き合い始めた時にね・・・」
誕生日が数日前だったことを知った。
だからと言って、あらためてお祝いすることはなかった。
なにも、したくなかったわけじゃない。
「まだ、付き合い始めたばかりだから・・・なんかね」
照れくささもあった。
「・・・かもしれないね、お互いの好みもまだ分からないし」
プレゼントするにしても、どこかで食事するにしても・・・だ。
「それより・・・来年、ちゃんとお祝いしよう!ってなったんだ」
「それって、もしかして・・・」
勘のいい友人がすでに気付いている。
「そうね、その来年は来なかった」
「それも後数日を残して」
つまり、誕生日を目前に私たちは別れることになった。
結果的に・・・色々、ムダに終わった。
「もう少しだったのにね」
「ううん・・・もう少しだったからこそ別れたんだと思う」
「そっか、深いね・・・その言葉」
結局一度も彼の誕生日を祝ってあげられなかった。
それは偶然から始まり、必然で終わった。
「今年は無事、迎えられそう?」
「そうね・・・どっちも」
(No.452完)
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