[No.449-2]制服
No.449-2
「そうかな?別に悪くないと思うけど・・・」
「デザイン的なことじゃなくて」
「ほら・・・髪型のこともあるし、全体的なイメージが・・・ね」
色々なことが重なり、学校自体そんなに印象が良くなかった。
「だから、あの制服を着ているだけで・・・」
なにとか男子から、からかわれたりした。
制服は当時の私たちを憂鬱にさせる象徴でもあった。
「でもね、私はそれでも良かったんだ」
「私は?」
「当時ね、付き合っていた彼が居たの」
クラブ活動を通じて、他校のとある男子と知り合った。
もちろん、私がどこの学校に通っていたか知っていた。
「週1くらいで一緒に帰っていたんだけど・・・」
からかわれる対象が私に加えて彼にも及んだ。
「聞こえはしないけど・・・」
「コソコソこちらを見ながら何かしゃべってるんだよね」
彼も気付いていたけど、特に何も言わなかった。
見てみぬふり・・・ではなく、私を気遣ってのことだった。
「ただ、それが私には辛くて」
私と付き合っているだけで、陰口を叩かれる。
それがだんだんと重荷に感じるようになった。
「・・・で、それで別れたんだ?」
「ううん・・・卒業までちゃんとお付き合いしたわよ」
「!?」
おかしな話に聞こえるけど、別れる理由は他にあった。
「“少なくても制服が原因で別れたくなかった”って」
「・・・だから、卒業まで?」
それが彼なりのやさしさだったのか、今となっては分らない。
ただ、目の前を歩く彼女の隣の男子が彼と重なって見えた。
(No.449完)
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