[No.449-1]制服
No.449-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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友人と少しだけ遠出することになった。
目指している先は美術館だ。
(この制服・・・)
駅に着くやいなや、ひとりの学生に視線が移った。
思い入れのある制服を着ていたからだ。
「どうしたの?」
「・・・私が通った女子高の制服なんだ」
私たちの前を歩く学生に、目立たないように指をさした。
「そうなんだ・・・懐かしい?」
返事に困る。
決して懐かしくないわけじゃない。
でも、どちらかと言えば苦い想い出ばかり記憶に残っている。
「もしかして・・・いじめ・・・とか?」
「ううん、そうじゃなくて」
私の通った学校は、いわゆる“すべり止め”の学校だった。
もちろん、もともとそのつもりで入学した人も居る。
「私はね、前者のほうだったの」
ある意味、レベルが高い学校でもあった。
ただ・・・。
「校則が厳しかったんだよね」
「・・・どんな?」
「例えば・・・髪型」
今で言うボブカットだ。
「・・・なら、別に変じゃないでしょ?」
「今・・・ならね」
当時は、単なる“おかっぱ”としてしか見られていない。
世間ではアイドルを真似た髪型が人気だったことも影響した。
「それにね」
加えて、目の前の制服だ。
すこぶる男子のうけが良くなかった。
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