[No.447-2]折れない心
No.447-2
「ねぇ、順調?」
「もちろん、この通り、順・・・」
「違うわよ!あなたのことじゃなくて」
どうやら、トマトのことを聞いているらしい。
両手で双葉を作ってみせてきたからだ。
「それが・・・」
「えっ!枯れちゃったの?」
「そうじゃないんだけど」
4つ蒔いた種全てに芽が出た。
けど、それが2cmほど成長した時だった。
「ほら、一昨日、風が強かっただろ?」
一応、風が当たらない場所にプランターを置いたつもりだった。
「一本、折れてたんだ」
倒れているのではなく折れていた。
「え~!?それでダメになっ・・・」
「それがな・・・そうでもないんだ」
今でも折れたままだ。
でも、今でも成長は続いている。
「まぁ・・・他の3本よりかなり成長は遅れてるけど」
あの時、もうダメだと思い引き抜こうとした。
ただ、何かがそれを思いとどまらせた。
「毎日、心配だけど楽しみでもあるな」
頑張れよ!
在り来たりな言葉だけど、そう声を掛けずにはいられない。
そこに、今の自分を重ねながら・・・。
(No.447完)
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