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[No.446-2]桜散る

No.446-2

「話は戻るけど、思ったほどじゃない・・・って?」
「それがね、思ったほど散ってなかったんだよね」

あの風の勢いからすれば、全ての桜が散ってもおかしくない。
実際、そんな木もあった。
でも、そうではない木の方が多かった。

「生命力と言えばいいのかな?」
「たくましさを感じたの」

こちらの心配をよそに、自然は自然なりに生きている。

「そうね・・・傘でさえ曲がってしまうくらいだもんね」

“桜散る”どころか、桜は散らなかった。
不吉な言葉から、一気に縁起物に変わった気がした。

「受験生にうけそうな話題ね!」
「言ってなかったけど、私も受験生なのよ?」
「先週、資格をとるために試験受けたんだ」

資格のことは話していたが、試験の時期は知らせていなかった。
結果は、もう少し先になる。

「そうだったんだ・・・で、桜はどうなりそう?」

そう言うと、歩道の花びらと頭上の花びらを交互に指差した。

「なかなか、粋なことするわね」
S446
(No.446完)
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