[No.446-2]桜散る
No.446-2
「話は戻るけど、思ったほどじゃない・・・って?」
「それがね、思ったほど散ってなかったんだよね」
あの風の勢いからすれば、全ての桜が散ってもおかしくない。
実際、そんな木もあった。
でも、そうではない木の方が多かった。
「生命力と言えばいいのかな?」
「たくましさを感じたの」
こちらの心配をよそに、自然は自然なりに生きている。
「そうね・・・傘でさえ曲がってしまうくらいだもんね」
“桜散る”どころか、桜は散らなかった。
不吉な言葉から、一気に縁起物に変わった気がした。
「受験生にうけそうな話題ね!」
「言ってなかったけど、私も受験生なのよ?」
「先週、資格をとるために試験受けたんだ」
資格のことは話していたが、試験の時期は知らせていなかった。
結果は、もう少し先になる。
「そうだったんだ・・・で、桜はどうなりそう?」
そう言うと、歩道の花びらと頭上の花びらを交互に指差した。
| 固定リンク | 0
「(018)小説No.426~450」カテゴリの記事
- [No.450-2]ハトのフン(2013.05.12)
- [No.450-1]ハトのフン(2013.05.11)
- [No.449-2]制服(2013.05.08)
- [No.449-1]制服(2013.05.07)
- [No.448-2]悩んでいても腹は減る(2013.04.27)
コメント