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[No.446-1]桜散る

No.446-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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桜散る・・・軽々しく口に出来ない言葉だ。
特に受験や就職を控えた学生に対しては・・・。

「昨日、風・・・凄かったよね!」

予報通り、台風並みの春の嵐が通り過ぎた。

「でも、思ったほどじゃなかったね」
「うそ!?かなり凄かったと思うけど」
「私なんて、傘が裏返って・・・」
「ごめん!風のことじゃなくって」

思ったほどではなかったのは、桜だ。
正確に言えば、桜の散り具合だ。

「桜?・・・」
「ほら、前日まで満開だったじゃない」

満開の一言に尽きる、咲きっぷりだった。

「だから、予報を聞いた時、真っ先に心配になって」

まさしく、“桜散る”にならないか不安だった。
それは見た目であり、言葉の響き・・・でもある。
桜散る・・・決して、良い意味では使われない。
特に学業の世界では。

「だから、気をつけなきゃね」

気遣いは必要だ。
誰が聞いているか分らない。

(No.446-2へ続く)

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