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[No.445-1]目線

No.445-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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「・・・ちょっと、なにコレ!?」

最高の笑顔を作ったはずだった。
それなのに、それが写真に収められていない。

「プッ!ひどい顔」

その原因を作ったであろう張本人が、真っ先に笑った。

「ごめん、ごめん!でも私のせいじゃないわよ」

それは何とも言い難い。
間違いなくシャッターを押したのは友人だ。
ただ、ひどい顔を狙ったわけではないのは分っている。

「・・・もぉ!」

不満のはけ口が見つからず、軽く地団駄を踏んでしまった。

「お互いプロじゃないんだから、難しいわよ」

簡単に言えばシャッターチャンスを逃している。
お互いのシャッターチャンスがズレていた・・・とも言える。
だから、笑顔を作ろうとしているほんの一瞬が収められてしまった。

「でも、時々あるのよね」

確かに友人の言葉にはうなづける。
写真では意図しない思わぬ瞬間が撮れてしまうことがある。

「動画なら、そんなことないのに」

本来なら、動画こそそんな瞬間の宝庫のはずだ。
ただ、それに気付かないだけだ。
ある瞬間はあっという間に次の瞬間に掻き消されてしまう。

「そう考えると、写真って、すごいよね」

今、その瞬間だと思ってシャッターを切っても時すでに遅しだ。
意図的にその瞬間を狙うことはある意味、奇跡に等しい。

(No.445-2へ続く)

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