[No.443-1]疾風のごとく
No.443-1
登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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時々、通勤途中にすれ違う女性がいる。
僕は徒歩で、向こうは自転車だ。
その女性は、いつも疾風のごとく、僕の横を通り過ぎて行く。
「・・・で、ついに衝突した!とか?」
「だったら、今日、会社に来てないだろ!」
「もし、そうだとしても、なんでそんなに嬉しそうなんだよ!?」
冗談と分っていても、つい言いたくなる。
「じゃ、告白でもされたとか?」
もし、そうなら話さない。
特に、目の前に居る同僚の女子社員には。
「・・・なわけないか!」
「まだ、何も言ってないだろ、まったく・・・」
その女性とは、いつももの凄い勢いですれ違う。
急いでいるのか、それが普通なのか・・・真相は不明だ。
ただ、かなりの形相であるのには間違いない。
「形相?」
「あぁ、必死と言うか、気合十分と言うか・・・」
確かに、笑顔は笑顔で怖いものがある。
その女性の場合、怒ってはいないが眉間にしわが寄っている。
・・・ように見える。
「それなら、やっぱり急いでるんじゃない?」
「そんなにいつもか?」
「そりゃそうよ、分っていても直らないものよ」
そう言えば・・・目の前の同僚も毎朝、息を切らしている。
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