[No.442-2]満天の空に
No.442-2
「でもさぁ、宇宙の大きさに比べたら、人間なんて・・・」
「ちっぽけ?」
「・・・だろ?」
彼女の影響で、星や宇宙に関する知識が増えた。
ある時、星だけでなく、宇宙そのものの大きさを知る機会があった。
そこには、もはや人知が入り込める余地は微塵もなかった。
「それに悩みごとなんて、どうでもよくなっちゃうよ」
それは、決して悪い意味で言ったのではない。
「うちは、そうとは思わへん」
意外な返事が返ってきた。
むしろ、さっきの発言は彼女に向けたものだった。
星を見上げる時ぐらい無心になって欲しい・・・との想いを込めて。
「逆に、光栄に思える・・・宇宙の一員として」
「こんなうちでもな、こうして生きていられるんやもん!」
その言葉から色々な意味が伺える。
「なぁ、なにが見える?」
彼女の言葉に従って、空を見上げてみる。
さっきより、星がまたたいて見えるのは僕だけだろうか。
(No.442完)
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