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[No.442-1]満天の空に

No.442-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「なにが見えるの?」

夜空を見上げている相手に、失礼とも言えるセリフを言った。
そこに海や山が見えるわけではないからだ。

「もちろん、星に決まってるやん」
「・・・だよな!」

そうは言っても、肝心の星はあまり見えない。
街が明る過ぎるせいもあるし、空気も澄んでいないからだ。
テレビで時より見かける、満天の星空・・・。
それこそ、遠い異国の地でしか見ることができないのが現実だ。

「本当はもっと星があるんやで」
「ここじゃ、見えへんけど」

「それなら、見上げてもそんなに楽しくないだろ?」

見上げたその先には、数える程度の星が瞬いているだけだ。

「せやかて、落ちつくねん!」
「そんなもんかな・・・」

ただ、ロマンティックさを、そこに求めていないことは分かる。
星を見上げる目は、どこか物悲しいからだ。

大袈裟だけど、心のよりどころをそこに求めているようにも見える。

(No.442-2へ続く)

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