[No.441-2]引越しソング
No.441-2
「そうね・・・別に引越しがテーマじゃなさそうだし」
特別、別れを強調しているわけじゃない。
「それに、その歌自体に、そんなに思い入れもない」
でも、なぜだが、急に聞きたくなった。
「ただ、“想い出”とは全く無関係じゃなさそうな歌詞なんだよね」
荷物の整理とそれが重なったのかもしれない。
それに、さほど前向きではないけど、決して後ろ向きでもない。
そんな歌詞でもある。
「・・・不安から来るものかな?」
「そうね、それは大きかった」
新天地への不安・・・でも、それなりに期待もあった。
一言で言えないそんな状態が、歌詞にマッチしたのかもしれない。
「マッチというより、共鳴したんじゃない?」
「・・・かもしれないね」
何がどうした・・・という明確なものはない。
けど、その時は間違いなく、その歌が心に響いた。
「だから、今でもこの歌を聞くと、引越しを思い出しちゃって」
「あの時の気持ちが蘇ってくるの」
卒業ソングならぬ、引越しソングたる所以はここにあった。
「そろそろ、ゴールデンウィークね」
「・・・そうね」
今時期は、何かと卒業ソングの話題で盛り上がる。
ただ、辿り着く先は、人それぞれだ。
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