[No.439-2]待つ少女
No.439-2
「最初はね、そうじゃなかったと思うんだ」
「あくまでも想像だけどね」
最初は時間と場所を決めて、待ち合わせしていたはずだ。
そこの電柱の前とか、何とか・・・。
でもその内、どちらか一方がそれを守らなくなり・・・。
「ついには、家の前で待つことになるんだよね」
「けど、約束を守らなかったわけじゃないの・・・」
「最初はね、遅れただけだったの」
それが始まりだった。
「そしたら、家まで来てくれてね、それから・・・それから・・・」
誰の話をしているのか、分からなくなった。
その女の子のこと?それとも私のこと?
「もう、分ったから・・・」
待つ身の辛さを分かっているのは、私が待っていたからではない。
その逆で、待たせていたからだ。
「いつしか気付いたら、友達が呼びに来るのを待つようになってた」
「それに・・・」
待つことから、“待たせる”に変わるまでそう時間は掛からなかった。
友達がどんな想いを胸に、私を待っていたか、知る由もなく・・・。
そのせいもあるのだろうか・・・。
その友達と、疎遠になって行くのも時間は掛からなかった。
そしてついには・・・。
「その友達が呼びに来なくなって」
「・・・ごめんね」
「もう、過ぎたことよ・・・こうして仲直りできてるんだから」
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