[No.438-1]天使と悪魔
No.438-1
登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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たまたま横を通り過ぎた時、それが視線に入ってきた。
一匹のネコが植え込みでうずくまっている。
・・・思わず、足を止めた。
「チュチュチュ・・・」
ネコを見ると意味もなく、習慣的に呼びかけてしまう。
「・・・なんで逃げないの?」
呼びかける以前に、横に来た時点で逃げ出すはずだ。
経験上、飼いネコだって、一歩外に出ると野性化する。
家の中に居る時は、犬以上の甘えっぷりを見せるのに・・・。
「ケガでもしてたとか?」
「そんな風には見えなかったけどなぁ」
「じゃ、単純に人に慣れているだけとか?」
確かにそう考えるのが自然だ。
人を恐れない、野良ネコだっている。
「ただ、少なくとも、元気があるようには見えなかった」
植え込みの中で、いわゆる“定番のスタイル”でうずくまっていた。
・・・中と言っても、正確には植え込みの中ではない。
植え込みとその囲いとの、ちょっとした空間に居た。
「日当たりもよくないし」
単に日向ぼっこしているとは思えなかった。
それに・・・。
「・・・隠れているわけでもない?」
「そうなんだよね」
植え込みは、歩道と隣接している。
だから、歩道を歩いていると、否が応でも目に入る。
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