« [No.436-1]彼女が残したもの | トップページ | [No.437-1]LED »

[No.436-2]彼女が残したもの

No.436-2

「そっか、頑張ろうね!」
「おいおい・・・花粉症は気合じゃどうしようもないぞ」

ただ、アレに関しては頑張るしかないかもしれない。
忘れる努力・・・と言ったほうが適切だが。

「そんなことないよ」

(そんなことない・・・か)

確かにそうなのかもしれない。

「あぁ、頑張ってみるよ」
「私も手伝うから」

花粉症の話にしては、ややおかしな方向に話が進んでいる。
頑張る、手伝う・・・そんなものなのだろうか?
でも、花粉症の経験がないから分らない。

「うん、まぁ、それなら、お願い、する」

とにかく、彼女の言葉に従うことにした。
別にどうこうされるわけでもないだろうし。
ただ、だましているようで心苦しい。

(違う・・・だましている)

何も知らない彼女を今、間違いなくだましている。
急に罪悪感にさいなまれた。

「ご、ごめん・・・本当は・・・」
「言わなくていいよ」

僕の言葉を遮るかのように、彼女の手が僕の口をそっとふさいだ。 

「花粉症にはマスクでしょ?」
No
(No.436完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.436-1]彼女が残したもの | トップページ | [No.437-1]LED »

(018)小説No.426~450」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.436-2]彼女が残したもの:

« [No.436-1]彼女が残したもの | トップページ | [No.437-1]LED »