[No.436-2]彼女が残したもの
No.436-2
「そっか、頑張ろうね!」
「おいおい・・・花粉症は気合じゃどうしようもないぞ」
ただ、アレに関しては頑張るしかないかもしれない。
忘れる努力・・・と言ったほうが適切だが。
「そんなことないよ」
(そんなことない・・・か)
確かにそうなのかもしれない。
「あぁ、頑張ってみるよ」
「私も手伝うから」
花粉症の話にしては、ややおかしな方向に話が進んでいる。
頑張る、手伝う・・・そんなものなのだろうか?
でも、花粉症の経験がないから分らない。
「うん、まぁ、それなら、お願い、する」
とにかく、彼女の言葉に従うことにした。
別にどうこうされるわけでもないだろうし。
ただ、だましているようで心苦しい。
(違う・・・だましている)
何も知らない彼女を今、間違いなくだましている。
急に罪悪感にさいなまれた。
「ご、ごめん・・・本当は・・・」
「言わなくていいよ」
僕の言葉を遮るかのように、彼女の手が僕の口をそっとふさいだ。
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