[No.436-1]彼女が残したもの
No.436-1
登場人物=牽引役(男性)
=相手(女性)
-----------------------------
僕にとっては辛い季節になってきた。
「花粉症?」
「ん?俺、何か言った・・・?」
「辛い季節って・・・」
無意識の内に、心の声を口にしていたらしい。
「・・・みたいなものかな~」
とりあえず、今の流れを変えないほうが賢明だ。
当たらずと言えども遠からず・・・そんな言葉を返したつもりだ。
「やっぱり、そうなんだ」
「・・・やっぱり?」
「ほら、去年も一昨年も今頃、元気がなかったから」
どうやら、表面的には気付かれていたようだった。
幸なことに・・・内面的には気付かれていない。
「そ、そうなんだよ!今時期、辛くて・・・」
ちょっと、調子に乗っている感はあるが大丈夫だろう。
花粉症に話をすり替えても会話は成立している。
「もう、そんな季節になってきたんだね」
「早いものだな・・・」
花粉症という設定の割には、感慨深い返事になってしまった。
「乗り越えられそう?」
「まぁ、なんとかなるでしょ」
そう想いながらも、もう4年が過ぎようとしていた。
| 固定リンク | 0
「(018)小説No.426~450」カテゴリの記事
- [No.450-2]ハトのフン(2013.05.12)
- [No.450-1]ハトのフン(2013.05.11)
- [No.449-2]制服(2013.05.08)
- [No.449-1]制服(2013.05.07)
- [No.448-2]悩んでいても腹は減る(2013.04.27)
コメント