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[No.436-1]彼女が残したもの

No.436-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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僕にとっては辛い季節になってきた。

「花粉症?」
「ん?俺、何か言った・・・?」
「辛い季節って・・・」

無意識の内に、心の声を口にしていたらしい。

「・・・みたいなものかな~」

とりあえず、今の流れを変えないほうが賢明だ。
当たらずと言えども遠からず・・・そんな言葉を返したつもりだ。

「やっぱり、そうなんだ」
「・・・やっぱり?」
「ほら、去年も一昨年も今頃、元気がなかったから」

どうやら、表面的には気付かれていたようだった。
幸なことに・・・内面的には気付かれていない。

「そ、そうなんだよ!今時期、辛くて・・・」

ちょっと、調子に乗っている感はあるが大丈夫だろう。
花粉症に話をすり替えても会話は成立している。

「もう、そんな季節になってきたんだね」
「早いものだな・・・」

花粉症という設定の割には、感慨深い返事になってしまった。

「乗り越えられそう?」
「まぁ、なんとかなるでしょ」

そう想いながらも、もう4年が過ぎようとしていた。

(No.436-2へ続く)

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