[No.434-2]君と僕
No.434-2
もし、奈央(なお)と同じホームに居たとしたら・・・。
僕はきっと奈央を電車に乗せようとはしないはずだ。
いつまでも、こうしていたい・・・と。
「とにかく、僕はいつもの通り、あっちに居るから」
「うん、そやったら、気いつけて」
急いで反対側のホームへ向かった。
電車の到着を告げるアナウンスが聞こえてきたからだ。
“間もなく2番線に電車が・・・”
(急がなきゃ・・・!?)
「あっ!」
急に我に返った。
反対側のホームに奈央は居ない。
それもそのはずだ。
ついさっきまで、言わば夢を見ていたからだ。
「あはは・・・なんでだろうな、今頃思い出すなんて」
目があった女性が乗り込んだ電車が今まさに発車しようとしている。
(じゃぁね)
その女性に向けたものではない。
僕の目の前には、笑顔で手を振る奈央の姿が見えていた。
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