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[No.434-1]君と僕

No.434-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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反対のホームに居るひとりの女性と目があった。
もちろん、故意ではなく、単なる偶然だ。

(どうも・・・)

どちらからともなく、軽く会釈した。
別に何かを期待したわけじゃない。
他人同士とは言え、このままだと、どうにもおさまりがつかない・・・。
お互いそんな感じだった。
実際、その女性は何事もなかったように電車に乗り込んで行った。

「ほんまに、ここでええのに」

「まぁ、そう言わずに、いつも通り見送らせてくれよ」

奈央(なお)といつもの場所で逢っていた。
そして、帰りにはいつも駅のホームで見送る。
ただ、僕は奈央とは反対側のホームに居る。

「せやったら、うち側のホームに来たらええのに」
「何だか照れくさくて・・・」

確かに何だか照れくさい。
それに駅のホームに付いた途端、不思議と会話がしぼんでしまう。
ホームという場所がそうさせるのだろうか?
それとも、何かを予感しているからだろうか・・・。

「それに反対側なら、顔を見てられるだろ?」
「なんか、嘘っぽいなぁ~」

奈央の言う通りだ。
嘘じゃないけど、本当でもない。

(No.434-2へ続く)

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