[No.428-1]ロンサム・シーズン
No.428-1
登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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今思えば、大胆な行動だったと思う。
「確かにそうよね」
「逆に今じゃ、考えられないけど」
高校生の頃、付き合い始めた彼と手紙のやりとりをしていた。
交換日記までといかない、便箋1枚程度の量だ。
一緒に帰る日にあわせて、それのやりとりをした。
「今みたいに、ケータイがなかったもんね」
一緒に帰る日を決めることも一苦労していた時代だ。
手紙の交換に合わせて、次の予定も決めた。
「なんでそんなこと書いたのさ?」
「なんでだろう・・・青春のイタズラ?」
らしい言葉で逃げてみた。
当時、他愛もないことを手紙に託していたような気がする。
口に出すよりも、文字にした方が雰囲気が出るからだ。
「雰囲気?」
「なんとなく秘密を共有してる、って感じかな」
それに何度も読み返すこともできる。
何度、彼の言葉にニヤケたことだろう・・・。
「話がズレてない?」
「あっ!そうね、ごめん」
もともとは私の大胆な行動に対する話だった。
「で、どうなったの?その後・・・」
“その後”の前に、私は手紙にこう書いていた。
『次、逢った時にキスしたい』
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