[No.427-1]二枚の写真
No.427-1
登場人物=牽引役(男性)=
相手(女性)
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何気なくパソコンに差し込んだメモリーカードにそれはあった。
「あっ・・・これ・・・」
「全部消したつもりだったのに・・・」
いくつかコピーを作っていたことが原因していたのだろう。
消し忘れていた写真が残っていたようだ。
「特に好きな写真だったよな・・・」
僕を見つめる二枚の写真。
一枚は言わば大人の女性を感じさせる“妖艶”な表情だ。
もう一枚は対照的に、“幼さ”が残る。
けど、どちらも同じ日の、ほぼ同じ時間に撮ったものだった。
「ほら、こんなんええやろ!」
モデルらしく、ポーズを決める。
何座りと言えば良いのだろうか?
両足を“く”の字に曲げて、床にペチャンと座り込んでいる。
特徴的なのは、ポーズではなく、その表情にある。
「上目遣いがいいね」
言い方は良くはないが、物欲しそうな目が何かを語っている。
妖艶でもあり、挑発的でもある。
「なら、早く早く!」
「じゃ、撮るよ!」
モニター越しに、彼女が映っている。
表情は相変わらず、艶かしい。
「はい、チーズ!」
ベタな掛け声と共に、“カシャッ”と作り物の音がこだました。
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