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[No.415-1]口癖

No.415-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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最近、口癖のようにつぶやいてしまう言葉がある。

「・・・何か言った?」
「いや・・・なんでもない、ただのひとり言だよ」

また、口にしてしまった。

「ただのじゃないよ!ひとり言こそ、心配になるじゃない」
「ごめん、ごめん!」

今の彼女と付き合い始めて、3年が経過しようとしている。
1週間前に、その記念日をふたりで祝った。

「改めて、3年間を振り返ってみてたんだよ」

日中はそうでもないカフェでも、夜になるとそれなりにムードがでる。
満天の星空の下、物思いにふけるには丁度良い。

「意外にロマンチスト?」
「おいおい、意外はないだろ」
「冗談よ!で、振り返ってみてどうだった?」

答えに困る。
嘘を付いていたからではない。

「そ、そうだなぁ~色々あったよな」
「良いことも悪いことも」

抽象的な答えに不服そうな顔をしている。

「話は戻るけど、だからひとり言が出ちゃったわけ?」
「う、うん・・・」

これも嘘じゃない。
けど、振り返っていたのは、前の彼女のことだった。

「ふ~ん・・・」
「なんだよ!?」

何となく見透かされているようでこわい。

(No.415-2へ続く)

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