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[No.412-1]昔のケータイ

No.412-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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「確か、この中にあったと思うけど・・・」

スマホは便利だ。
ただ、1台何役もこなしてもらうと、逆に面倒な時がある。

「何、探してるのよ?」
「ケータイ電話」

“手に持ってるじゃない?”と聞かないのは時代の流れだろうか。
スマホは、もはやケータイではないらしい。

「あ、あったぁ~!」
「それ、2世代前のじゃない!?」

当時、友人と同じ機種を買った。

「そうね、かれこれ4年まえくらいかな」

たかが4年、されど4年だ。
ケータイ業界の変化は早い。
進化どころか、ケータイはいつしかスマホにその座を奪われた。

「いまさら、何するのよ?」
「ははぁ~ん・・・」

疑いの眼差しと、にやけた表情がどうやら答えらしい。

「ち、違うわよ!」
「確かに、まだ色々残ってるけど」

メールも着信履歴も当時のままだ。
まるで、ケータイの中だけ時が止まったままになっている。

「でも、時計は進んでるでしょ?」

嫌味にも聞こえるが、辛うじて時計は動いていた。

「それはともかく、教えなさいよ!」

思い出に浸りたいために、探していたわけじゃない。

(No.412-2へ続く)

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