[No.409-2]アイドル
No.409-2
彼女とアイドルは、ひいき目で見なくとも似ている。
なのに本人も含めて、誰も似ているとは思っていないようだ。
それが今、はっきりした。
それになぜなのか?・・・も。
「やっぱり、憧れる?」
「うん・・・でも、うちには遠い世界や」
ルックスなら引けをとらない。
とらないどころか、上を行っている。
だからといって成功するかどうかは、時の運もある。
ただ、彼女とそのアイドルには決定的な違いがある。
「そんなことないだろ?」
「せやかて、プロフィールなんて書けばええねん?」
プロフィールなんて、ある意味嘘でもいい。
ただ、嘘を突き通してもかもし出す雰囲気を隠すことはできない。
それは生い立ちであり、そこから来る雰囲気の違いだ。
その雰囲気に包まれているからこそ、似ていると感じないのだろう。
「そのうち、“宿無しアイドル”なんて書かれるやろな」
両親のもとを離れ・・・というか、家を飛び出している。
今はどうにか、あるところに住んではいる。
でも、真の意味で、落ち着ける場所ではない。
「宿無しアイドルか・・・新しいかもな」
「いけるかな?」
ふたりで顔を見合わせる。
「今、何考えていた?」
「きっと、同じことやと思う」
ステージに立つ彼女、それを見守るマネージャーとしての僕。
(No.409完)
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