[No.408-2]黄色い電車
No.408-2
「今で言う、都市伝説だったかもしれないな」
それに正確に言えば電車ではなく、“汽車”だ。
そもそも、なぜそんな噂が出たのか知る由もない。
噂が噂を呼び、いつしか幸せを運ぶ幻の黄色い電車になっていた。
その電車を見ると願い事が叶うとか、どうとか・・・。
「もしかして、だからこの場所を選んだのか?」
あの日、優美子(ゆみこ)から告白された。
でも、あくまでも幼なじみとしてしか見ていなかった。
「そうね、だからフラれたのかな?」
電車が来なかったことを言ってるのだろう。
つまり、願いは叶わなかったと。
「来るわけないのは、優美子だって知ってただろ?」
「鈍感ね!だからここを選んだの」
「あっ・・・」
ある意味、女性らしいけじめの付け方なのかもしれない。
フラれることが分っているからこそ、あえてこの場所を選ぶ。
「ごめん・・・」
僕を気遣ってのことだろう・・・電車には悪いがそう言うことだ。
電車が来なかったから、優美子はフラれた。
お互い、そう考えればそれで済む部分もある。
「それはそうと、どうしてここに呼び出したか分かる?」
線路がない以上、どう転んでも電車はこない。
「来たわよ」
「えっ!・・・なんだ・・・脅かすなよ、バスじゃないか!」
確かに黄色いバスのせいか、一瞬驚いた。
「あ!バレた?」
「呼び出したのは驚かせる目的があったからだろ?」
この時は知らなかった。
地元をしばらく離れていたために、ある噂が広まっていたことを。
(No.408完)
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