[No.405-2]御堂筋線
No.405-2
「せっかく、ここに来たんだからプレゼントするよ」
「ホンマに!?」
その後の奈美(なみ)の喜びようといったら・・・。
こちらとしてもプレゼントのしがいがある。
「ついでに、3つ買えばいいよ」
これでいわゆる1セットというか、1家族というか・・・。
「これなら奈美の家に、居候・・・って設定もありだろ?」
「うん!うちが“かおるさん”の代わりやね!」
そう言うと、吟味に入った。
奈美曰く、大量生産とは言え、微妙に表情が違うらしい。
「これとこれと・・・これにする!」
やっと決まったらしい、時間にしておよそ30分。
「ちょ、ちょっと・・・休憩タイム!」
とりあえず、近くのカフェで休憩することにした。
けど、休憩するはずのカフェでも相変わらず奈美は元気だ。
もう、さっき買ったキャラクターで遊び始めた。
それを僕はただ、黙って見ていた。
「・・・そろそろ、時間じゃない?」
目的の場所が難波とは言え、そんなにノンビリしていられない。
「ほんまや!仕方ないなぁ~」
奈美だけではなく、僕も渋々、カフェを後にした。
「じゃあ、また」
「うん」
ごく短い言葉を交わしてから、奈美の背中を見送る。
けど、すぐに行き交う人の波にのまれ、その姿を見失った。
ここは、御堂筋線天王寺駅・・・。
僕は改札前でいつまでも遠くを見ている。
(No.405完)
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