[No.403-2]時は流れる
No.403-2
「逆に転勤でブルーじゃないって、やっぱり大物よ、あなたは」
「そうかな・・・」
同僚もまた転勤で私の職場にやってきた。
「私なんか、どれだけブルーだったか・・・」
「そうなの?歓迎会のハシャギっぷりからは想像できないわね!」
「それは言わないの!」
会社勤めの宿命だ。
それは会社に入る前から、承知している。
「それにしても、そんなの単なる偶然よ」
「別に偶然があなたに合わせたわけじゃない」
「それは分ってるの」
ホームページも近所のカフェも物理的に姿を消した。
端的に言えば、無くなった。
でも、私の中ではそうではない。
無くなったと言うより・・・。
「なんだか役目を終えたように感じてしまうの」
自らの引き際が分っていたかのように・・・。
さしづめ、スポーツ選手の引退にも似ている気がする。
「ほんと・・・大袈裟というか・・・」
「まぁ、そこがあなたらしいけど」
新天地に着くなり早々、私好みのカフェが近所にオープンした。
それに、閉鎖されたホームページがリニューアルオープンした。
「そろそろ唯一、止まったままの時を動かさないと・・・ね!」
これから本気で恋をしようと思った。
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