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[No.402-2]前方後円墳

No.402-2

「“かぎ穴”って書いたの」
「・・・なるほど、まんまね」

逆に当時はそれ以外考えられなかった。

「それで恥をかいたとか?」
「ううん、恥は書いていない」

それを公表されたわけでない。
それに、そう答えたのは私だけではなかった。

「少しも、悲しい話には聞こえないけど?」
「ちゃんと答えていた人も結構居たのよ」

教科書には“前方後円墳”の記載はなかった。
授業中にもそんな言葉は出てこなかった。
もちろん、私の思い違いかもしれないが・・・。

「答えていた人ね・・・みんな塾に通っていたの」

その時、友だちとの間になんらかの距離を感じた。

「知らないうちに、みんな勉強してるんだなっ・・・てね」
「・・・そっか」

今、振り返ると既に競争社会がそこにあったように思える。
人より先に進む人、知らず知らずに置いて行かれる人・・・。

「でも、丸は貰えなかったけど、三角は付けてくれたのよ」
「今じゃ、そうはいかないけどね」
No402
(No.402完)
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