[No.402-2]前方後円墳
No.402-2
「“かぎ穴”って書いたの」
「・・・なるほど、まんまね」
逆に当時はそれ以外考えられなかった。
「それで恥をかいたとか?」
「ううん、恥は書いていない」
それを公表されたわけでない。
それに、そう答えたのは私だけではなかった。
「少しも、悲しい話には聞こえないけど?」
「ちゃんと答えていた人も結構居たのよ」
教科書には“前方後円墳”の記載はなかった。
授業中にもそんな言葉は出てこなかった。
もちろん、私の思い違いかもしれないが・・・。
「答えていた人ね・・・みんな塾に通っていたの」
その時、友だちとの間になんらかの距離を感じた。
「知らないうちに、みんな勉強してるんだなっ・・・てね」
「・・・そっか」
今、振り返ると既に競争社会がそこにあったように思える。
人より先に進む人、知らず知らずに置いて行かれる人・・・。
「でも、丸は貰えなかったけど、三角は付けてくれたのよ」
「今じゃ、そうはいかないけどね」
(No.402完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(017)小説No.401~425」カテゴリの記事
- [No.425-2]うれしい一言(2013.01.27)
- [No.425-1]うれしい一言(2013.01.25)
- [No.424-2]LINE POP(2013.01.20)
- [No.424-1]LINE POP(2013.01.19)
- [No.423-2]崩れた壁(2013.01.16)
コメント