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[No.394-2]はやさの時代

No.394-2

「はやさの時代・・・?」
「スピードの時代ってこと」

気付けば私たちの周りにはスピードで溢れ返っている。
ネットにしたって、以前と比べようがないくらい高速化した。
今では“待つ”ことすらない。

「未来を先取りしちゃうことも」
「・・・ほら、スポーツの試合結果なんて」

これからテレビ放送する試合の結果が分かっている時がある。
はやいとか遅いとか・・・そんなレベルではないだろう。

「だから、気にすることないんじゃない?」

試合結果の話は別にしても、はやさに欲が出てくる。
今よりも、もっとはやく、更にはやく・・・。

「そう考えると、イライラしちゃうんだ」
「だったら階段、使ったらよかったじゃん・・・」
「・・・う、うん」

この後、なぜだかふたりとも笑いが止まらなかった。
はやさに翻弄されるふたり・・・。
それにその価値を分かっていないふたり・・・。

「だよね?私たち」
「損もしてないけど得もしてない」

見えないものに踊らされるのはもうやめよう。

「明日から階段をゆっくり下りることにするよ」
No394
(No.394完)
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