[No.394-1]はやさの時代
No.394-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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「・・・ん、もぉ、遅いっ!」
(あっ!・・・いけない)
幸い周辺には誰も居なかった。
ただ、かなり苛立った私の声は周辺に響き渡っただろう。
「あぁ~、最近どうしちゃったのかな・・・」
「疲れてるんでしょ?仕事忙しそうだしね」
仕事のせいにはしたくない。
けど、最近、イライラ度が増しているのは隠しようがない。
今朝だって・・・。
「エレベータさえ待てなかったのよ」
1階で止まっていたエレベータを自分の階まで呼んだ。
「確か・・・7階だったよね?」
「そうよ」
呼んだ時、途中で止まらずにストレートに7階までやって来た。
時間にして・・・そう、約10秒程度だと思う。
「10秒!?・・・相当、せっかちね」
「なんていうか、その時はすごく遅く感じたの」
いつも通りの時間に家を出て、特に急ぐ用事もなかった。
だから会社へ向かうために、焦っていたわけではない。
「でも、分かるな・・・その気持ち」
「今は・・・“はやさの時代”だもんね」
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