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2012年9月

[No.400-1]あなたと繋がる場所

No.400-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
この小説で丁度、400話目になる。
ブログを始めてから、約3年と8ヶ月ほど経過した時点でだ。

「すごいね!続けるだけでも大変なのに」
「逆にテーマを絞ったから良かったのかも」

今のブログを始める前に、短期間だけ公開したブログがあった。
そこではいくつかのテーマを取り上げた。

「テーマが多い方が、続けられると思ったんだ」

それこそ、テーマを決めなければ、テーマは無限にあることになる。
日々感じたこと、ニュースだって何だって、記事にすれば良い。

「でも、その方が続かないでしょ?」
「さすが経験者は語る・・・ね」

書くことはいくらでもあるのに、筆ならぬ“キーボード”が進まない。
だから、ほどなくして、そこは閉鎖した。

「なぜ、小説に絞ったの?」

理由はひとことでは言えない。
ただ、無性に書きたかったのは事実だった。

「当時、心情的に色々あってね」

心の叫びを文字にしたり、自分に対する応援歌であったり。
そして何よりも・・・。

「この小説を見て欲しい人が居たの」

当時、自分の心の中で、ある人の存在が大きくなっていた。

(No.400-2へ続く)

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ホタル通信 No.139

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.134 ハイブリッドな・・・
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

この話も最近、私が頻繁に使っている“商業的な小説”の部
類に入るのかもしれません。

実話度は前半が概ね事実であり、後半は全て創作です。た
だ、前半は実際のエピソードではなく、当時の心境を具現化
させたものです。
さて、No.134ともなると、もはや初期の作品とは言えず初期
に見られた作り込みの甘さはややましになっています。でも
その一方で心境の“グロテスク度”もやや陰を潜めてしまい、
物足りなさもあります。
つまり、この物足りなさが“商業的な小説”と私は自分の作
品に対して、そう呼ぶことにしています

では内容に触れて行きますね。
前半を極端に言えば、目標を失い路頭に迷う私・・・そして
その私を動かしてくれる原動力を求め・・・が後半です。
読んで頂ければ分るように、前半はやや重く、後半は逆に
かなり軽いノリです。
タイトルでもあり、オチに相当する部分にも“ハイブリッド”と
いう言葉を使っていますが、これは話を書き進めている途中
で思い付き、アイデアとして盛り込みました。
原動力、燃料とキーワードが繋がった後にハイブリットの考
えが浮かび、燃料からは人の燃料である、食べ物へもキー
ワードが繋がりました。

手前味噌で恐縮ですが、この小説は文字にして読むよりも
映像として小芝居を見た方が様になるのかもしれません。
作者が言うのも変ですが、何だか楽しそうですNo139

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[No.399-2]幼い恋

No.399-2

それもあるのだろうか・・・。
見た目はかなり童顔と言える。
ただ、行動も含めると、決して悪く言うつもりもないが幼く感じる。

「それにしても大きなかばん持ってるね」
「これ?色んなもんが入ってんねん!」

よほど二十歳過ぎの大学生とは思えないものが続々出てくる。

「それ・・・なに?」
これ?かえるのご隠居やん!」

かろうじて、かえるのぬいぐるみだと見てとれる。
しかも、手作り感が満載だ。

「まぁ、それはおいといて・・・」

そのネーミングからして危険なものを感じた。
だから受け流すことにした。

「・・・それはバナナ?」
違う、バナナ入れ

よく見ると、硬そうなバナナの形をしている。
だからこそ、バナナ入れなんだろうけど・・・。

「なんでそんなものが?」
「便利なんやで!ほら!」
「わぁ!」

本当にバナナが入っていた。
ただ、かなり熟していたのが気にはなったが。

彼女を好きになったのは、ひたすら純粋な幼さに惹かれたからだ。
それに、この僕も幼かったからだ。
No399
(No.399完)
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[No.399-1]幼い恋

No.399-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
改めて振り返り、ふと気付いたことがあった。

彼女とはコミュニティサイトを通じて知り合いになった。
住んでいる所もそう遠くはない。
それから、数ヵ月後に彼女と会うことになった。

「雰囲気違うやろ?」
「・・・あ、う、うん」

彼女の第一声だった。
既に電話やメールで自己紹介済みで、気心は知れている。
だから、とりわけ改まることはない。

「ちょっとダイエットしたねん」

確かに以前見た写メでは、ふっくら感はあった。
それでも、ダイエットが必要なほどではない。

「そ、そうなんだぁ」

単純にダイエットの効果を誉めるわけにはいかない。
以前のふっくら感を強調することになり兼ねないからだ。

「こんなうちでも、かまへん?」
「もちろんだよ!」

それこそ、逆なら大変だ。
それに、写真の修正だって今なら容易にできる。
プリクラに至っては、その“盛り”ようと言ったら・・・。

「それにな、うちほとんど化粧してへんやろ?」

女性には聞かせられない発言だ。
間違いなく敵を作る。
彼女の場合、してないというより、する必要もない。

(No.399-2へ続く)

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[No.398-2]きゅうりちん

No.398-2

しばらくしてから、響子(きょうこ)から写メが届いた。
時期的に多分・・・。

『トマト順調!』

メールのタイトルからすると、どうやら順調に育っているらしい。

(どれどれ・・・)

添付されていた写真には、たわわに実ったトマトが写っていた。

「すごい・・・」

それに、どれもこれも赤くて大きい。
去年目にしたあの写真に似ている。

『見た目と違うかもしれないけどね!』

ちょっと、いじわるでもあり、事実でもあるメールを返した。
去年からすれば、十分考えられるからだ。

『残念でしたぁ~もういくつか食べちゃったのよね!』

特に味の感想はなかった。
でも、満足していることを、うかがい知ることができる。

『ごめんねぇ、食べる前にメールしたかったんだけど』

収穫を報告する前に、食べることを優先してしまったらしい。

(響子らしいけどな)

『きゅうりちんも、スクスク育っているよ!』

(きゅうりちん・・・?)

一瞬、とまどったが、今年は“君”ではなく“ちん”で行くらしい。

(No.398完)
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[No.398-1]きゅうりちん

No.398-1       No.279「うちの子」

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
また今年もアレの季節になってきた。

「今年はトマトも始めたよ」
「そうなの?僕は去年・・・」

去年から響子(きょうこ)に誘われて、家庭菜園を始めた。
まずは無難な所できゅうりとトマトを選んだ。

「トマトは全然だめだったな~」
「きゅうりは何とか美味しく戴けたけど」

購入したトマトの苗には、説明書のような写真が添えられていた。
そこには、たわわに実ったトマトが写っていた。
それこそ、ぶどうのように・・・。

「確か、4つくらいしか実らなかったし、それに・・・」
「・・・4つとも熟さなかったし」

結局、青く小さいまま、それ以上育たなかったもの。
また、赤く大きく育ったものの・・・。

「そう言えば、“超すっぱい!”ってメールもらったね」

唯一、赤く大きく育ったトマトを口にした結果だった。

「そうくるとは思わなかったしな」

まさに、レモンを超えるすっぱさだったような気がした。
図々しいけど、完熟の甘さを期待して口に入れた。
だからこそ、その反動で余計にすっぱく感じたのかもしれない。

「だから、今年は“きゅうり君”だけにするよ」

“きゅうり君”とは響子が名付けた。
僕たちの中だけで通じる、きゅうりの呼び名だ。

(No.398-2へ続く)

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ホタル通信 No.138

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.135 動く夜景
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

この小説を書くきっかけとなるエピソードが割と単調な分だけ
見せ方に一工夫加えています。

シチュエーション的には、比較的実話度は高めで、オチに相
当する、飛行機の中での出来事を切り取ったものです。
飛行機の中、そこから見える夜景、独特の光の配置・・・等々
は事実で、そこで交わされる会話は創作です。
飛行機からの夜景の眺め・・・ある意味、特別なシチュエーシ
ョンかもしれませんが、非常に限られた中で話を作らなければ
ならず、その意味では前述した通り、単調な展開になりそうな
予感がありました。

そこでそれを逆手にとり、夜景を見ていることを前面に押し出
しながらも、そこがどこであるかを伏せて話を進めています。
前半の中盤辺りに“遠くからでも観覧車”のくだりがあります
から、読み手は高台や建造物などから、それを見ているのだ
と思っているでしょう。
もっとシチュエーションを限定的に語るのであれば、関西空港
発の新千歳行きの飛行機の中であって、着陸の10分前くらい
の夜景になります

夜景を小説のテーマとして使ったことはあります。
でも、案外話が広がりません。場所や演出の小道具としては
優れていますが、そこにうまく心情を乗せることができません。
夜景そのものが、ロマンティックで綺麗なもの・・・との印象が
強く、どちらかと言えばその逆を描きたい自分とのギャップを
感じているからかもしれません。

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[No.397-2]宇宙の始まり

No.397-2

「そう、言われてみれば・・・」

何もない所から生まれる。
それは、突然変異だとかなんとかで片付けるとしよう。
でも、何もない所の周りに何かあったり・・・。

「・・・するわけないよね」
「そうね、何もない所の周りに何かあったら、何もないって言えない」

こんなことを真剣に悩むから、ますますモテない気がしてきた。

「わけわかんなくなってきた!」
「右に同じく・・・」

だったら考えなきゃいいのに!と自分に言い聞かせてみた。
けど、人知を超えた内容だ。
多少のロマンもある。

「宇宙の果てもそうよね」

宇宙に果てがあるかどうかより、宇宙は何に属しているのだろうか。
仮に何かに属しているのなら、その属しているものは何に属・・・。

「わぁ~!もう限界!」

考えれば考えるほど、頭が混乱する。

「今日はここまでにしない?」
「そうね・・・そうしましょう!」

いずれ、どこかの偉い学者がきっとこの謎を解いてくれるだろう。
そう願いたい。

「さて・・・と、今日も行きますか?」
「そうね!」

そろそろ私たちも属さないといけない。
少なくとも会社という小さな範囲に。
No397
(No.397完)
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[No.397-1]宇宙の始まり

No.397-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
宇宙は何もない所から、ある日突然生まれた。

「こんな話してる私たちって、やっぱりモテない?」
「そうね・・多分」

歴女、山ガール・・・。
多少、マニアックな部類の女子がもてはやされている。

それなら・・・宇宙女?スペースガールとか?」

後者ならまだ良い。

(宇宙女って・・・・)

「まぁ、それより、話を続けましょう!」

モテる、モテないは二の次だ。

宇宙は何もない所からある日、突然生まれた。
それはそれで良しとしよう。
それよりも気になるのは、生まれる前のことだ。

「何もないって前って・・・」

何もない前・・・どう考えれば良いのだろうか。
それに、何もない所は、どこに属していたのだろう。

「属する?」
「ほら、私たちなら・・・」

広く考えると日本に属し、地球に属している。
更に広く考えると・・・。

「太陽系、銀河系・・・に属していると言えるよね?」

そう、私たちは必ず何かに属して生きている。
属する範囲が見えているから現実味があるし、安心もできる。

「だから、“何もない”は何に属していたのかなって?」

(No.397-2へ続く)

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[No.396-2]洗濯日和

No.396-2

決して他人には聞かせられないような話だ。
正直、恥ずかしいからだ。
でも、反面話すと、この上なく楽しい。

「じゃ、お風呂の準備を・・・」

洗面台にぬるめのお湯を張った。
お風呂にしては大きすぎるが、露天風呂・・・ということにした。

「準備はこれでヨシ!・・・と」
「じゃ、着ぐるみを脱がさんとアカンな」

設定上、着ぐるみらしいから、それを脱ぐ必要がある。
まぁ、あくまでも設定上だが・・・。

「そうだな・・・確か背中にチャックがあったよな?」
「うん!うちが脱がす~」

実際には脱がせることはできない。
そのような作りにはなっていないからだ。
だから、あくまでも脱がす振りだけだ。

「あっー!」
「ど、どうした?火傷!?」

お湯はぬるめにしたはずだ。

「違うねん!チェックがあらへん!」

確かに以前はあったチャックがちぎれてなくなっていた。
・・・ということは・・・。

「お風呂に入られへん!」

だから、俺のせいじゅうろうは今も汚れたままだ。

(No.396完)
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[No.396-1]洗濯日和

No.396-1    [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
確か、3年くらいだろうか?
せいじゅうろうが俺のケータイに居座るようになってから・・・。

「プッ!居座るやて」
「そう笑うなよ・・・」

普通ならケータイにぶら下げてから・・・なんて表現だろう。
そう考えれば随分とリラックマワールドに染まっている。

「せやかて、設定上も居座ってるやもん!」
「確か・・・かおるさん、だったっけ?」

ある日、突然、家の中に居たらしい。

「そうやで!早い話、居候やな」

そんな設定を知っていたから、つい“居座る”という表現を使った。

「もう、3年にもなるんや!」

俺が3年だとすれば、菜緒(なお)もほぼ3年だ。
俺より、数週間、早いだけだろうから。

「・・・しみじみ、どないしたん?」
「随分と汚れたな・・・と思って」

元々、茶色だから汚れは目立ち難い。
でも、それ以外の部分は明らかに汚れているのがわかる。
買った時は、もっと色は鮮明だった。
実際、店で売られている同じタイプのものは色鮮やかだ。

「一度、洗おう・・・じゃなくて、お風呂、お風呂!」

うっかり、せいじゅうろうを“モノ”として扱おうとしてしまった。

「そや、そや!お風呂いれたらなアカン」

(No.396-2へ続く)

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ホタル通信 No.137

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.184 怒るって難しい
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

実話度60%の内訳ですが、前半はほぼ100%、後半は10%、
従って、平均約60%としました。

まず、前半の内容からご紹介しますね
人物設定は抜きにして、内容についてはほぼ100%ですから
実際にこのような出来事が起こりました。
メールって、例え返信が不要な内容であったとしても、何らか
の反応がないと不安になることがあります。それに自分の都
合を相手にも押し付けたようになったりすることも少なくはあり
ません。
ところで、前半を読んで「相手はずさんな人」と思われた方も
多いのではないでしょうか?でも、事実は多少違っています。

次に後半ですが、ここでは心情を文字にしており、友人との
会話が実際に行われたわけではございません
つまり、会話という事実はなかったけれども、自分の心情を
言わば具現化したようなものです。そのため、実話度は控え
めに、10%とさせて頂きました。

小説のタイトルにもあるように“怒るって難しい”ことだと思って
います。ここでいう“怒る”は“おこる”と読んでくださいね。
それは恋人同士に限らず、友人同士や先輩と後輩・・・様々な
人間関係について言えると思います。
怒らなかったから、関係がダメになることもあれば、怒ったから
こそ関係が今まで以上に深まることもあるでしょう。

最後に前述した“でも、事実は多少違っています”について触
れてから締め括りとします。
一見すると、ずさんなのか、ケータイに興味がないのか・・・そ
んな人に見えるかもしれません。
確かに、これらも事実と言えば事実だったのですが、それより
も影響が大きかったのは次の事実でした
 “彼はもう私には興味を失くしてした”
小説上ではハッピーエンドともバットエンディングとも言えない
終わり方ですが、現実は後者の方でした。悲しい涙では終わ
らないのが、当ブログのモットーなので、ちょっとお茶を濁した
終わり方だったかな~・・・と、明るく締めくくってみますね。No137

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[No.395-2]漢字検定

No.395-2

「そう言えば・・・」

おかしな表現だが“生”で字を書くことが少ない。
今じゃ、多少お堅い書類だって、パソコンで作成できる。

「字が下手な私にとっては好都合だけど?」
「・・・なんて、いうか、ほら・・・あれよ」

普段、使い慣れない言葉だけあって急には出てこない。

「・・・そう!“人となり”が見えるじゃない!」

単に字が綺麗、汚いではない。
きっちり書く人、荒っぽい字の人、その人の本質が見える気がする。

「メールだって、絵文字とかあるじゃん!」
「それは表面上の感情表現でしょ?」

文字だって、その時の感情が出ないわけではないだろう。

「そんなに言うなら今度、手紙書くから」

「じゃ・・・私はそれに返事を書くわ」

いつの間にか、話が大きく変わっていた。

「漢字検定が・・・手紙になっちゃたわね」
「私、悪いことしたかな・・・」
「別にいいよ、私の手紙、しっかり添削してよね!その実力で」

(No.395完)
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[No.395-1]漢字検定

No.395-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
「そう言えば、漢字検定持ってたよね?」
「もう、自分で調べなさい!」

漢字検定を持っていることを誉めようとしていたのではない。
辞書代わりに利用しようとしている。

「だってぇ、面倒なんだもん!」
「ケータイでも調べられるでしょ?」

何のためのケータイ電話か分からない。
まぁ、友人の場合は、ほとんどゲーム機化しているが・・・。

「まったく・・・それで、なんて漢字?」

結局、甘やかせてしまった。

「そうこなくっちゃ!」

ケータイに頼ればいい・・・さっきは確かにそう言った。
けど、それこそが漢字離れの弊害かもしれない。
それに、漢字離れだけではなく・・・。

「話は変わるけど、見たことない・・・」
「何を?」
「あなたの字」

逆に私の字も、友人は見たことないだろう。
私たちの世代は完全にメール文化が根付いている。
それこそ“手紙”なんて書いたことがない。

(No.395-2へ続く)

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[No.394-2]はやさの時代

No.394-2

「はやさの時代・・・?」
「スピードの時代ってこと」

気付けば私たちの周りにはスピードで溢れ返っている。
ネットにしたって、以前と比べようがないくらい高速化した。
今では“待つ”ことすらない。

「未来を先取りしちゃうことも」
「・・・ほら、スポーツの試合結果なんて」

これからテレビ放送する試合の結果が分かっている時がある。
はやいとか遅いとか・・・そんなレベルではないだろう。

「だから、気にすることないんじゃない?」

試合結果の話は別にしても、はやさに欲が出てくる。
今よりも、もっとはやく、更にはやく・・・。

「そう考えると、イライラしちゃうんだ」
「だったら階段、使ったらよかったじゃん・・・」
「・・・う、うん」

この後、なぜだかふたりとも笑いが止まらなかった。
はやさに翻弄されるふたり・・・。
それにその価値を分かっていないふたり・・・。

「だよね?私たち」
「損もしてないけど得もしてない」

見えないものに踊らされるのはもうやめよう。

「明日から階段をゆっくり下りることにするよ」
No394
(No.394完)
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[No.394-1]はやさの時代

No.394-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
「・・・ん、もぉ、遅いっ!」

(あっ!・・・いけない)

幸い周辺には誰も居なかった。
ただ、かなり苛立った私の声は周辺に響き渡っただろう。

「あぁ~、最近どうしちゃったのかな・・・」
「疲れてるんでしょ?仕事忙しそうだしね」

仕事のせいにはしたくない。
けど、最近、イライラ度が増しているのは隠しようがない。
今朝だって・・・。

「エレベータさえ待てなかったのよ」

1階で止まっていたエレベータを自分の階まで呼んだ。

「確か・・・7階だったよね?」
「そうよ」

呼んだ時、途中で止まらずにストレートに7階までやって来た。
時間にして・・・そう、約10秒程度だと思う。

「10秒!?・・・相当、せっかちね」
「なんていうか、その時はすごく遅く感じたの」

いつも通りの時間に家を出て、特に急ぐ用事もなかった。
だから会社へ向かうために、焦っていたわけではない。

「でも、分かるな・・・その気持ち」
「今は・・・“はやさの時代”だもんね」

(No.394-2へ続く)

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ホタル通信 No.136

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.84 シグナルの向こうへ
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

この小説はある意味、未来小説だと言えるかもしれません。

小説上では、軽い接触事故が起こっていますが、実際には
事故は発生していません。毎日の通勤途上の中で「もしかし
たらそうなるかも」と言う危険性を小説にしています。

何度かそんな目にあっていた所、ありがちな話ですが、この
ような話を思い付きました。
ありがちな話ゆえ、サクサクと書き上げることができました。
オチに相当するラストシーンまではいつも通り、何も考えず
ただひたすらキーボードを連打、連打・・・
で、ラストはどうしたものかと考え始めたのが、後半の中盤
あたりだったのですが、奇跡的にも前半冒頭の「信号が青
になった・・・」の下りに救われることになりました。
青信号は進めではなく、進んで良いという意味に着目して
「信号も恋も注意しながら進む」をオチに持ってきました。

商業的な小説・・・たまに私が口にする言葉です。
もともとラストにオチだとか気の利いたことを言うつもりはな
く、ブログ小説を始めました。
今でもそうなんですが、自己満足できればそれはそれで良
かったのですが、最後が締まらないと単に身勝手な小説に
なってしまうため、極力最後は締めています。

その締めがあまりにも上手く行き過ぎることがあり、それを
自分の中では「商業的な小説」と呼んでいます。
小説としてはまぁ、そこそこな出来なんでしょうが、自分的
にはあまり好きではありません。
今回の話もちょっと綺麗に終わり過ぎたかな?と思っていま
すが・・・まぁ、良しとしましょう

最後に、小説のタイトルはある歌のタイトルをそのまま使わ
せて頂きました。

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[No.393-2]恋の練習

No.393-2

「うちが最初につきあった人に似てたからやろ?」
「そ、そんなこと言ってた!?」

あまり記憶にないから、強く否定はできない。
でも、事実だとすれば結構失礼な発言だ。

「確かによく似ているけど・・・」

本当にそんなこと言ったのだろうか?

「うちと付き合う前の彼女もそうだった・・・て」
「前の彼女も!?」

顔の好みは変わってないから、そうかもしれないけど・・・。

(ん?・・・なんか変だぞ)

「あっ!バレた?」
「本当はそんなことゆうてへんよ」

彼女の悪ふざけに付き合わされてしまったようだ。

「勘弁してよ・・・びっくりするだろ」
「でもな、うちが最初の彼女に似てるんと違う」
「最初の彼女がうちに似てるんや」

やきもちにも似た発言に女心を見た気がした。

「うちと恋するための練習だったんや、過去の恋は」

(No.393完)
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[No.393-1]恋の練習

No.393-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
時々、ふと思うことがある。
なぜ、数多くいる女性の中から、彼女を選んだのかと・・・。

「どうしたん?」
「ん!?い、いや、なんでもない」

多分、“心ここにあらず”のような表情をしていたはずだ。

「心ここにあらず、って感じやん」
「ちょっと考えごとしてたんだ」

別に隠す必要もない話だ。
素直にそれを話した。

「そんなん、うちが聞きたいわ」
「・・・だよな」

今の場合、彼女は選ばれる側の立場だ。
逆に僕は選ぶ立場だ。
上から目線で大変申し訳ないが・・・。

「そやけど、前、話してくれたやん!」
「何を?」
「うちを選んだ理由・・・みたいなこと」

言われて見れば・・・話したような気もする。
気のせいかもしれないが。

(No.393-2へ続く)

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[No.392-2]片目の子猫

No.392-2

向かって右の目が真っ赤に充血している。
その上、生きてはいるのだろうが動く気配がまるでない。

「おい・・・」

その子猫に手を伸ばした時だった。
力なくも、その場から30cmほど逃げ出した。

「動けるのか!?」

ただ、それ以上逃げる気配はない。
野生の本能とでも言えばいいのだろうか?
力の限りを尽くしたようにも感じる。

「ご、ごめんな」

つい、謝ってしまった。
状況的にもしかしたら・・・体もかなり汚れている。

「ご飯食べてるか?」

自分でも恥ずかしくなる言葉を子猫に掛けた。
それに、なぜその言葉なのか・・・自分でもよく分からない。

「あっ・・・ちょっと待てよ!」

そうこうしている内に、子猫が動き出した。
決して足元はおぼつかない。
でも、“生”に対する力強いオーラを感じる。

「頑張れよ!」

最後に声を掛けた。
その姿がどことなく、かつて出逢った女性と重なったからだ。No392
(No.392完)
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[No.392-1]片目の子猫

No.392-1

登場人物
=牽引役(男性)
-----------------------------
「わっぁぁ!」
「お、驚かすなよ!」

会社帰り、自転車を駐輪場に停めた時だった。
白い塊が僕を見た。

「また猫かよ!まった・・・」

隣に停めてある、スクーターにうずくまっていた。

それにしても、ここ最近、こいつらと出逢う確率が増えてきた。
夜・・・それも仕事帰りは疲れ気味で気が抜けている時が多い。
そんな状況下では、誰もが突然の出逢いにビックリするだろう。

「・・・く、あれ?」

さっきまでの自分の威勢が、急にしぼんで行くのがわかる。
いつもなら、既に猛烈な勢いで逃げ去っているからだ。
それなのに・・・。

「どうした?」

いつもと違う状況に、つい声を掛けてしまった。

「・・・子猫じゃないか!?」

突然の出逢いとは言え、今頃気付いた。
それに、何だか雰囲気が変だ。

「おまえ、目・・・どうしたんだよ!?」

片目が赤い。
それにさっきから一向に逃げる気配もない。

(No.392-2へ続く)

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