[No.391-2]知らない車
No.391-2
「どうだった?」
「随分と変わった所もあれば、昔のままの所もあった」
それにしても改めて感じる。
便利な世の中になったと・・・。
でも、本当はそこへ足を運ぶべきだったのもかもしれない。
「住んでいた家はどうなってた?」
「昔のままだったよ、ただ・・・」
見た目は、記憶にあるそれと同じだ。
多少、古ぼけたことを除けば。
「じゃあ・・・なに?」
「・・・車」
アパートの前が駐車場になっていた。
「かつての駐車場にね、車が停めてあったの」
「そりゃ・・・駐車場だからだよね?」
そこには、誰かの知らない車が停められていた。
当たり前だと言えば、当たり前の話だけど・・・。
「なんだか・・・こう・・・寂しいというか・・・」
想い出の場所なのに、そこにリアルな生活感を見た気がした。
「いいじゃない、また誰の想い出が作られていると思えば」
「そうね」
けど、もう二度とネットでは見ない。
今度は足を運び、肌で想い出を感じてこようと思ったからだ。
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