« [No.391-1]知らない車 | トップページ | ホタル通信 No.135 »

[No.391-2]知らない車

No.391-2

「どうだった?」
「随分と変わった所もあれば、昔のままの所もあった」

それにしても改めて感じる。
便利な世の中になったと・・・。
でも、本当はそこへ足を運ぶべきだったのもかもしれない。

「住んでいた家はどうなってた?」
「昔のままだったよ、ただ・・・」

見た目は、記憶にあるそれと同じだ。
多少、古ぼけたことを除けば。

「じゃあ・・・なに?」
「・・・車」

アパートの前が駐車場になっていた。

「かつての駐車場にね、車が停めてあったの」
「そりゃ・・・駐車場だからだよね?」

そこには、誰かの知らない車が停められていた。
当たり前だと言えば、当たり前の話だけど・・・。

「なんだか・・・こう・・・寂しいというか・・・」

想い出の場所なのに、そこにリアルな生活感を見た気がした。

「いいじゃない、また誰の想い出が作られていると思えば」
「そうね」

けど、もう二度とネットでは見ない。
今度は足を運び、肌で想い出を感じてこようと思ったからだ。

(No.391完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.391-1]知らない車 | トップページ | ホタル通信 No.135 »

(016)小説No.376~400」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.391-2]知らない車:

« [No.391-1]知らない車 | トップページ | ホタル通信 No.135 »