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[No.388-1]想い出の道

No.388-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「道に想い出なんてあるの?」

ここで言う道とは、物理的な道だ。
今まで歩んできた道・・・つまり、人生のことではない。

「まぁな」

それに、どこでもいいわけではない。
今、僕達が車で走っているこの道路にほかならない。

「でも・・・街中だよね?」

有名なドライブコースでもなければ、これと言った特徴もない。
間違いなく他人にとっては何の変哲もない道だろう。
でも、僕にとっては忘れることができない道だ。

「・・・なら、私にしゃべっていいの?」
「もう、昔のことだよ」

大袈裟だが、あの時、僕には行き場が無かった。
だから、仕方なくこの道を走った。

「仕方なく?」

ただ、この道は目的の場所に通じる道でもあった。
そうナビが示していた。

「走り始めてしまったからな」

行くことでしか僕の気持ちは収まらなかった。

(No.388-2へ続く)

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