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[No.386-1]片親

No.386-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「あれ見てん!」

“何をだよ!”と聞き返さなくても、何を見れば良いのか分る。

「あの猫のことか?」

案外、珍しいのかもしれない。
親子連れの猫を目撃すること自体が・・・。
普段、見慣れているであろう光景は、写真の中のような気がする。

「最近、見かけへん光景やなぁ」

どうやら、彼女も同じような考えを持っているようだ。

「・・・だよな、それも3匹も」

子猫が3匹、親猫の後を追って歩いている。
足取りは、まだおぼつかない。

「わぁ!危ないやん!」

子猫が1匹、足がもつれるかのように転んだ。
でも、すぐさま親猫が駆け寄った。

「・・・羨ましいなぁ」

何気ない一言なのに、返す言葉が見つからない。

「きっと、お母さんやろな」
「何で分るんだよ?」
「いつもそばに居るから」

ただ、彼女の場合は違った。

No.386-2へ続く

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