[No.385-2]消えたせいじゅうろう
No.385-2
「多分、この中に・・・」
かばんをゴソゴソすることもなく、すぐに発見できた。
「ほら、ここに居るよ」
「・・・ホンマや!」
入るのに丁度都合が良いポケットに収まっていた。
昨日、ケータイをチェックされる前に、外して入れた。
よく考えれば、初めてせいじゅうろうを外したことになる。
付けて始めてから、既に3年は経過していた。
「良かった、良かった」
俺以上に、菜緒(なお)の安堵感が印象的だった。
「うちが元の場所に戻しといたる!」
そう言うと、せいじゅうろうをつまみ上げた。
「・・・あっ!」
「ど、どうした?」
「狭い所に居てはったから、グッショリ汗かいてんねん!」
「おい、おい、冗談は・・・えっ!」
触ってみると確かに、グッショリ濡れていた。
「ま、まさか!」
背筋が寒くなる、そんな季節になって来たのは確かだ。
今日も、テレビでそんな特集をやっていた。
「・・・な、わけないやん!」
「でも、実際に濡れてるし・・・」
その問に応えるように、菜緒が俺のカバンから何かを取り出した。
「あっ・・・ペットボトル・・・」
つい、さっき買ったばかりのペットボトルのしずくがその犯人だった。
(No.385完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(S01)せいじゅうろう」カテゴリの記事
- [No.959-2]奇妙な踊り(2020.01.19)
- [No.959-1]奇妙な踊り(2020.01.18)
- [No.952-2]光になりたい(2019.12.10)
- [No.952-1]光になりたい(2019.12.08)
- [No.926-2]黄色のラケット(2019.08.08)
「(016)小説No.376~400」カテゴリの記事
- [No.400-2]あなたと繋がる場所(2012.10.02)
- [No.400-1]あなたと繋がる場所(2012.09.30)
- [No.399-2]幼い恋(2012.09.27)
- [No.399-1]幼い恋(2012.09.26)
- [No.398-2]きゅうりちん(2012.09.25)
コメント