[No.384-2]青空に聞く
No.384-2
彼女が最後の言葉を発してから、どれくらい経過しただろうか。
「落ち着くね、この景色」
別に街中だって、青空を見上げることはできる。
でも、この場所でなければ意味がない。
同じ青空であっても、感じるものは全く異なる。
「元カノなんだけど・・・」
なぜか、聞かれてもいないのに話し始めてしまった。
「いいよ、話さなくても」
さっきとは立場も展開も逆になった。
「いや、聞いて欲しいんだ」
元カノは幼い時の様々な経験から、心に深い傷を負っていた。
そのせいで、時々自分を見失うことがあった。
「・・・見失う?」
「遠回しに言えば、自分の存在を否定しようと“行動”に出るんだ」
「・・・今、元カノは?」
正直分らない。
あれから一切、連絡は取っていないからだ。
「知りたいけど、知るのが怖い」
「そうよね・・・それなら聞いて見れば?」
「誰にだよ?」
そう聞き返すと、彼女が真剣に青空を見つめている。
「空に!?・・・そうだな」
なぁ・・・青空を下から見上げてるのか?
それとも上から僕たちを見守ってくれてるのか?
(No.384完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(016)小説No.376~400」カテゴリの記事
- [No.400-2]あなたと繋がる場所(2012.10.02)
- [No.400-1]あなたと繋がる場所(2012.09.30)
- [No.399-2]幼い恋(2012.09.27)
- [No.399-1]幼い恋(2012.09.26)
- [No.398-2]きゅうりちん(2012.09.25)
コメント