[No.383-1]雨女VS晴れ女
No.383-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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「どうしたの?浮かない顔ね」
今時、珍しいのかもしれない。
日帰りとは言え、今日は一年に一度の社内旅行の日だ。
だから、浮かない顔というわけではないが・・・。
「そ、そうかな・・・」
仕事を離れてまで、社内の人間と付き合うのが嫌いなわけじゃない。
むしろ、好きなくらいだ。
「は、は~ん、彼が来ていないから?」
「違うわよ!」
浮かない理由はちょっと馬鹿にされそうな内容だ。
「それなら天気も良いし、もっと明るく行こうよ!」
そう・・・それが浮かない理由だ。
「それにしても、雨降らなくて良かったね!」
同僚がダメ押しする。
「そうね」
今日は雲ひとつ無い、抜けるような夏の青空だ。
「昨日までの大雨が嘘のようね」
最近、明らかに自称雨女としての神通力が弱まっている。
普通、雨女と旅行がセットになれば・・・結果は想像が付く。
(それなのに、なんで!)
雨で旅行を台無しにしてやろうと、考えているわけではない。
神通力の衰えに危機感を抱いているだけだ。
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