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[No.382-1]オーバー・ライト

No.382-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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(えっ!そんなぁ・・・)

久しぶりに、とある道を通った。
それに数ヶ月前にも、この道を通った。

「思い出してもいなかったのに!」

数ヶ月前、あるべき建物が無くなっていた。
もちろん、SFのように忽然と消えたわけではない。
単に取り壊されただけだろう。
見通しの良い空き地がそこに広がっていたからだ。

「結構その話、聞いてない?」
「いつもは“思い出せない”話よ」

気付いてみれば、とある場所が空き地になっている。
少し前までは、そこに何かが建っていたのは間違いない。
ただ、不思議と思い出せない。

「いつも“何が建ってたんだっけ?”としばらく考えてるの」

結局、思い出せないまま終わる。

「今回はね、そうこうしてるうちに別の建物が建っていたの」

数ヶ月前からその消えた建物を必死に思い出そうとしていた。
それなのに、肩透かしを喰らった感じがした。
いつも通りの結果が待っていたとしてもだ。

「いつも通る道じゃなかったから」
「・・・久しぶりに通ったら、あれ!?ってことね」

今は、しばらく空き地だった事実さえ忘れてしまいそうだった。

(No.382-2へ続く)

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