[No.380-2]中途半端
No.380-2
「昨日、高校生の女の子とすれ違ったんだ」
「まさか!?」
「・・・な、わけないでしょ」
小学生とも思える幼い顔に似合わない、今風のへアスタイル。
それに化粧も決して薄くはない。
「髪型も化粧も無理してる・・・って感じだった」
「幼い顔なのに、どうしてその子が高校生だと?」
「私が卒業した学校の制服だったから」
髪型と化粧に幼い顔が追いついていない感じだった。
それを見た途端、なぜか元野球少年をイメージした。
「不釣合い・・・という点では一致してない?」
「微妙・・・だけどね」
「まぁ、自分に何が似合うのか、まだ分らない年齢よ」
俗に言われる“背伸び”は、私たちにとっては眩いばかりの言葉だ。
でも、かつて私もその一人だった。
「そうね・・・そのうち、見つけられるよね!」
今は自分自身が鏡であっても、そのうち世間が鏡になる。
良くも悪くも、それで人は変わって行く。
「あぁ~ぁ、若いっていいね」
中途半端は若さの特権なのかもしれない。
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