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[No.378-1]あめちゃん

No.378-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「あっ、これ・・・」

優衣(ゆい)が、飴を買ってきてくれた。

「そう!これがうわさの・・・」

自分も日常生活の中で、たまに使ってしまうセリフがある。

“売ってたら今度、買ってくる”

少なくとも、その瞬間は本当にそう思っている。
決して、その場をしのぐための発言ではない。
ただ・・・実現しないことが圧倒的に多いだけだ。

「ありがとう!」

意外に応え方が難しい。
忘れてた、と言えば“そんな程度だったの?”と思われてしまう。
覚えてた、と言えば・・・しつこい人間だと思われそうだ。

「なかなか、売ってなくてごめんね」

確かに今日までに、何度か報告があった。
“売っていない”と・・・。
けど、その時は忘れたことに対する、言い訳だと思っていた。

「き、気にしなくていいよ」

若干、声が上ずってしまった。
もちろん、後ろめたさから来るものだ。

「黄色のパッケージが眩しいね」
「でしょ!」

その飴は甘くて、酸っぱい飴だと聞かされていた。
単に・・・甘酸っぱいとは違うらしい。

(No.378-2へ続く)

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