[No.373-2]笑顔に逢いたい
No.373-2
とりあえず、物陰に隠れようと思った。
(どこがいいかな・・・)
再び辺りをキョロキョロする。
「ナイスな場所、発見!」
エレベータに向かう通路が丁度、周りから死角になりそうだ。
(とりあえず、急・・・あっ!)
目があった。
それにお互い、一歩も動けないくらい硬直した。
「・・・居たの!?そこに」
その誰か、つまり親猫がそこに居た。
親猫とは言っても、断言はできないが・・・。
でも、硬直しながらも耳が子猫の泣き声を探っている。
「じゃぁ・・・私が姿を消すから」
(・・・と見せかけて)
数秒、親猫の死角に入ったが、再び顔を覗かせた。
すると、さっきよりは距離が進んだ位置で再び目が合い硬直した。
「ごめん、ごめん!もうしないから」
親子の再会を邪魔する、たちの悪い人間として映っているだろう。
「ほら、もう行って」
気持ちと言葉が分ったと言うのだろうか?
目の前を疾走して行った。
・・・と同時に、あれほどうるさかった子猫の鳴き声が止んだ。
「良かったね!」
(何だか、私も逢いたくなってきちゃった)
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