[No.371-1]誘われた夜
No.371-1
登場人物=牽引役(男性)
=相手(女性)
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一気に緊張感が走る。
社交辞令だと思っていたことが、そうではなかったからだ。
『今日、来れますか?』
(・・・えっ!今日・・・)
たった一行のメールをさっきから凝視している。
こと始まりは、ちょうど1週間前にさかのぼる。
『それなら、遊びに行こうか?』
同僚の女子社員に送ったメールだった。
もちろん、この前に何度もメールやりとりしていた。
その流れの中で、このような結論に至った。
『うん、待ってる。チビも喜ぶし』
チビとは彼女が飼っている犬の名前だ。
この時は社交辞令に毛が生えた程度だと思っていた。
『じゃあ、また今度な』
社交辞令の王道とも言える返答をした。
極めて曖昧な所が、ある意味、大人な対応だ。
『分かった、今度ね』
多少、惜しい気もする。
けど、この手の話には期待しない方が身のためだ。
過去、何度と無く・・・。
「うそだろ?・・・今からなんて」
こんな時、男性の方が意気地がないのかもしれない。
時計の針は、もう21時をとっくに過ぎていた。
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