[No.362-2]移り行く季節
No.362-2
「逆に思い出させちゃった?」
「ううん・・・逆に忘れてなかったから」
思い出すもなにも、忘れていなかった。
だから、何かをきっかけに思い出す必要もない。
「ありがとう、今日誘ってくれて」
「ううん・・・春は出逢いと別れの季節って言うけど」
私はその別れの方だった。
「身近に居ると、軽々しく発言できないね」
「時間が解決してくれるから・・・平気よ」
今までだってそうしてきた。
正直に言えばそうするしか手立てがなかった。
「・・・早く夏にならないかなぁ~」
きっと、その頃には忘れることができている・・・そう信じている。
そんなこともあって、夏が待ち遠しくもある。
「でも、まだ全然春だもんね」
桜が散り始めているとは言え、まだまだ春全開だ。
「ほんと、散ってはいるものの・・・」
何気なく落ちてくる桜の花びらを手にしようとした、その時・・・。
避けるかのように、フワフワと空に向かって飛んで行ってしまった。
「・・・今の見た!?」
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