« [No.362-1]移り行く季節 | トップページ | [No.363-1]イルカに乗った・・・ »

[No.362-2]移り行く季節

No.362-2

「逆に思い出させちゃった?」
「ううん・・・逆に忘れてなかったから」

思い出すもなにも、忘れていなかった。
だから、何かをきっかけに思い出す必要もない。

「ありがとう、今日誘ってくれて」
「ううん・・・春は出逢いと別れの季節って言うけど」

私はその別れの方だった。

「身近に居ると、軽々しく発言できないね」
「時間が解決してくれるから・・・平気よ」

今までだってそうしてきた。
正直に言えばそうするしか手立てがなかった。

「・・・早く夏にならないかなぁ~」

きっと、その頃には忘れることができている・・・そう信じている。
そんなこともあって、夏が待ち遠しくもある。

「でも、まだ全然春だもんね」

桜が散り始めているとは言え、まだまだ春全開だ。

「ほんと、散ってはいるものの・・・」

何気なく落ちてくる桜の花びらを手にしようとした、その時・・・。
避けるかのように、フワフワと空に向かって飛んで行ってしまった。

「・・・今の見た!?」

(No.362完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.362-1]移り行く季節 | トップページ | [No.363-1]イルカに乗った・・・ »

(015)小説No.351~375」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.362-2]移り行く季節:

« [No.362-1]移り行く季節 | トップページ | [No.363-1]イルカに乗った・・・ »