[No.362-1]移り行く季節
No.362-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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「わぁ~、綺麗ね!」
分かっていても、つい口にしたくなる。
桜が見事なまでに咲き誇っているからだ。
ただ、今日はやや風があるせいだろうか?
桜並木は、舞い散る花びらも多い。
「これは、これで風情があるじゃない」
さながら桜の雨に、桜の水たまりといったところだろうか。
こんな風情のあるシチュエーションはそう長い期間、続かない。
「それに、ほら!こんなに桜に濡れちゃった・・・」
友人が雨に引っ掛けた話を続けた。
確かに、小雨に降られたように、花びらが頭や肩に乗っている。
「うまいこと言うわね」
どうやら桜の雨は、しばらく止みそうにない。
「こんな雨ならいつでも歓迎だよ!」
こんな雨なら悪くない、ただ・・・。
「これくらいの雨じゃ、涙は隠せそうにないけどね」
「まだ・・・引きずってる?」
「・・・かもしれない」
私の身を案じてだろうか・・・。
舞い散る花びらが少し増えたような気がする。
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